はじめに
スイスのビジネススクールIMDは5月28日、毎年発表している世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)の2019年版を発表しました。今回で31回目となる2019年のランキングは、世界主要63ヶ国・地域が調査対象となりました。
気になる日本の順位はというと・・・30位です。30位について、いいと思う方もいればわるいと思う方もいるかと思います。ただ、30位は比較可能な1997年以降で過去最低の順位ということです。
IMD世界競争力ランキングとは
4つの項目
IMD世界競争力ランキングとはIMD(国際経営開発研究所)が毎年発表しているランキングです。
世界競争力ランキングは以下の4つの項目を基準に、235の経済指標などを使い分析しています。
- Economic Performance(経済パフォーマンス)
- Government Efficiency(政府の効率性)
- Business Efficiency(ビジネスの効率性)
- Infrastructure(インフラ)
※IMD(International Institute for Management Developmentの略):IMDはスイスのローザンに拠点を置く世界的有名なビジネススクール。IMDのMBAプログラムは世界最高峰のプログラムと評価されています。
IMD世界競争力ランキング2019
1位シンガポールでした。日本はタイ(25位)、韓国(28位)よりも下の30位です。日本は2018年より5つ順位を下げました。
IMD世界競争力ランキング2019
1.シンガポール
2.香港
3.米国
4.スイス
5.アラブ首長国連邦(UAE)
6.オランダ
7.アイルランド
8.デンマーク
9.スウェーデン
10.カタール
11.ノルウェー
12.ルクセンブルク
13.カナダ
14.中国
15.フィンランド
16.台湾
17.ドイツ
18.オーストラリア
19.オーストリア
20.アイスランド
…
25.タイ
28.韓国
30.日本
32.インドネシア
出典:https://www.imd.org/news/updates/singapore-topples-united-states-as-worlds-most-competitive-economy/
出典:https://www.imd.org/wcc/world-competitiveness-center-rankings/world-competitiveness-ranking-2019/
日本の項目別ランキング
日本の項目別ランキングは、以下の通りです。
- Economic Performance(経済パフォーマンス):16位
- Government Efficiency(政府の効率性):38位
- Business Efficiency(ビジネスの効率性):46位
- Infrastructure(インフラ):15位
「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」が大きく足を引っ張っている状態です。「政府の効率性」では巨額の政府債務や法人税の高さが重荷となり、「ビジネスの効率性」ではビッグデータの活用・分析、国際経験、起業家精神などが足りず、IMDは企業の生産性向上に向け働き方改革や人材開発を一層進める必要があると指摘しました。
一方で、細部の項目を見ると長期的な基準においては日本は「持続可能な開発」で1位、「環境関連の技術」では2位と評価が高い項目もあります。
まとめ
IMD世界競争力ランキング2019の日本の30位という順位はあくまで総合的な順位です。項目別や指標別に評価を確認し、考えることが大事ではないでしょうか。
政府により働き方改革やIT人材育成が進められていることから、「ビジネスの効率性」の順位はこれから上がっていくことが期待されますね。「政府の効率性」については、まずは我々国民が政治に興味を持つことから始まるのではないでしょうか。主体的に、協力してランキング上位を狙っていきましょう。
また、2020年には東京オリンピックもあります。オリンピック・レガシー(遺産)がもしかしたら競争力ランキングを押し上げるかもしれません。
オリンピック・レガシーは近年国際オリンピック委員会(IOC)が最も力を入れているテーマの一つです。IOC の憲法ともいえるオリンピック憲章には次のように記されています。
「オリンピック競技大会のよい遺産(レガシー)を、開催都市ならびに開催国に残すことを推進する」
日本は前回開催時、インフラ開発が急速に進みました。これは有形のオリンピック・レガシー(遺産)です。そして今回、2020年東京オリンピックに向け、テレワークなどが試験的に実施されています。2020年の東京オリンピックで一体どのようなレガシーが残るのか。楽しみですね。
出典:日本経済新聞