はじめに
文部科学省は、全ての大学で人工知能(AI)の基礎を学ぶことができるように、全国共通のカリキュラム(教育課程)を作成するそうです。将来的には文系理系問わず全ての大学生がAIを学習する体制を目指すとのこと。
背景にあるのはIT人材不足の深刻化
経済産業省はAI人材・IT人材育成への取り組みの中で次のような課題があると発表しています。
課題点
- IT人材の不足は、現状約17万人から2030年には約79万人に拡大すると予測され、今後ますます深刻化。
- 特に、ベンダー・ユーザー双方において、サイバーセキュリティ対策を講じる人材のほか、AI等を使いこなして第4次産業革命※に対応した新しいビジネスの担い手となる高度IT人材の育成が急務。
- AI等を使いこなし、新ビジネスを創造する新たな人材像を再定義するとともに、経済成長を牽引していくトップ人材の育成の拡充、ミドル人材のスキル転換、ITリテラシーの向上や教育現場の底上げ等を進めていくことが重要。
出典:経済産業省 「AI人材育成の取り組み」より
※第4次産業革命とは 第4次産業革命とは、18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化である第3次産業革命に続く、次のようないくつかのコアとなる技術革新を指す。 一つ目はIoT及びビッグデータである。工場の機械の稼働状況から、交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで、新たな付加価値が生まれている。 二つ目はAIである。人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素を全て与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことが可能となっている。加えて、従来のロボット技術も、更に複雑な作業が可能となっているほか、3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となっている。 こうした技術革新により、1大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供、1既に存在している資源・資産の効率的な活用、1AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替などが可能となる。企業などの生産者側からみれば、これまでの財・サービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性があるほか、消費者側からみれば、既存の財・サービスを今までよりも低価格で好きな時に適量購入できるだけでなく、潜在的に欲していた新しい財・サービスをも享受できることが期待される。 出典:内閣府「第2章 新たな産業変化への対応(第1節)」より
まとめ
政府の主なIT人材育成・プログラミング教育への取り組みを挙げてみますと、
- 小学校で必修化
- 中学校で内容拡充
- 高校で必修化
- センター試験に変わる大学入学共通テストで文理問わず導入検討
- 全大学生が学習する共通カリキュラム作成と体制づくり
などなど、プログラミング教育、IT人材育成への日本政府の本気度がわかります。とはいえ私たちはまだまだITやAIの知識を身につける重要性を実感しづらい状況にいるかもしれません。しかし、経済産業省の資料にある通り、これからは第4次産業革命に対応できる人間が必要とされます。このような政府の取り組みや社会の情報を積極的に取りに行き、自分のため、子どものために将来を考えて行動すべきではないでしょうか。
出典:読売新聞