はじめに
オランダで広まっている「イエナプラン」という教育が日本でも注目されています。公立小学校にも「イエナプラン」を取り入れる動きが広がっているようです。「イエナプラン」とはどういったものなのでしょうか。
イエナプランとは
イエナプラン(教育)とは、ドイツのイエナ大学の教育学教授が 1924年に同大学の実験校で創始した学校教育です。 子どもたちを『根幹(ファミリー)グループ』と呼ばれる異年齢のグループにしてクラスを編制したことに大きな特徴があります。現在、イエナプラン教育が最も盛んな国はオランダといわれています。
イエナプランの特徴
日本イエナプラン教育協会のWebサイトによると10の特徴が挙げられていました。以下に10の特徴とその一部を概要として抜粋してみました。
10の特徴
- リビングルームとしての教室
- 教室をリビングルームとして捉える。
- 教室を担当するグループリーダー(教員)がいる。
- ひとつの教室には3学年の生徒が一緒になり「根幹(ファミリー)グループ」を作る。
- マルチエイジの根幹グループ
- 3つの年齢のグループ(4-6歳、6-9歳、9-12歳)から構成される。
- 3年間を同じ教室の同じグループリーダーの下で年少・年中・年長の三つの立場を経験しながらすごし、それを繰り返しながら小学校を卒業する。
- サークル対話
- 教室での学習活動では、サークル対話(車座になって話し合う)という形式が繰り返し使われる。
- サークルには、グループリーダーも加わり、子どもたちの対話のファシリテーターの役割を果たす。
- ワールドオリエンテーション
- 理科・社会科の区別はなく、ワールドオリエンテーションという総合学習の形態を用いる。
- 年間およそ8-9のテーマを決め、学校全体で同じテーマに取り組む。
- 循環する活動・科目によらない時間割
- 科目ごとの時間割は作らない。
- 基本的に、(サークル)対話-遊び-仕事(学習)-催し(行事や祝い)という4つのパターンの活動を循環させる時間割を作る。
- 静かな学びの場
- 子どもが『静かに』黙考する機会を十分に持つことを強調している。
- 答えのない問いと付き合う訓練となる。
- ペダゴジカル・シチュエーション(教育学的環境)
- 教員や学校経営者の役割は、知識伝達ではなく、子どもが、自発的に学びたいという意欲を持つようになるための、専門的に考え抜かれた、環境づくり、ということが強調される。
- 真正性(オーセンティシティ)
- 教員は、何でも知っている、常に教え、導く存在ではなく、子どもたちの中に共に加わった一人の個性を持った人=グループリーダーとして捉えられる。
- できるだけ、本物に子どもが触れられるように学習環境を作る
- 学校職員のチームワーク
- 学校の職員は、年間計画、月間計画、週間計画などを、全員で話し合い、学校の企画として作り上げていく。
- 校長は、各教職員が、共同で話し合いをする際のファシリテーターの役割を果たすものである、という考え方をする。
- 保護者との協力的な態度
- 子どもの教育は、学校と保護者との協力関係に基づいて行うもの、という考え方がある。
- 保護者に対しては、常に、学校での状況をオープンに伝え、保護者の質問に対して率直に答える態度を重視する。また、教育活動の中に、保護者が参加することを勧める。
※より詳細を確認したい方は日本イエナプラン教育協会のWebサイトへ
まとめ
2019年4月には日本初のイエナプラン教育導入校である長野県の私立大日向小学校が開校が予定され、広島県福山市は2022年春に「イエナプラン教育校」開設を発表しました。文部科学省では異年齢の集団による学習をすすめています。既存の小学校がイエナプラン教育を導入することは難しいかもしれませんが、「異年齢との学習」を授業の一部に取り入れるための参考にはなるかと思われます。子どもたちの社会性向上の1つの方法として、イエナプラン教育のような「異年齢との学習」がさらに広まると良いですね。
参考:読売新聞