近頃よく聞くリカレント教育。最近ではゆるいリカレント教育が流行ってきているようです。ところでリカレント教育ってなんでしょう??
リカレント教育とは
リカレント教育とは、義務教育や基礎教育を終えて社会人になったあと、あらためて就労に活かすために学び直し、また就労するというサイクルを繰り返す教育システムのことです。
なぜリカレント教育が必要か
寿命が延びて人生が100年になり、急速に変化する社会に適応していくためには、教育は人生の初期だけで終わりではなく、生涯にわたり続けていくことが重要であるからです。
日本のリカレント教育
2017年11月の「人生100年時代構想会議」で、安倍晋三首相がリカレント教育の拡充に向けた環境整備を表明し、文部科学省と経済産業省において取り組みが進められています。
内閣府はリカレント教育には次の2つの大きな意義があると述べています。
- これまでのような新卒で就職した企業に定年まで働くという単線的な職業キャリアではなく、学び直しによって、転職や起業を行うなどの多様なキャリア形成、「人生の再設計」が可能となること
- 第4次産業革命の技術革新が進む中で、学び直しによって、新技術に対応したスキルや、AI等の機械に代替されにくい能力を身に付けることが可能になること
また、効果についても次のような調査結果を発表しています。
- 大学等で勉学に専念する場合はもちろん、通信教育・オンライン講座を受けることや、セミナーへの参加、書籍による独学等その方法は様々です。いずれの場合も、学び直しを行うことでその効果がみられる
- 学び直しを行った人は、そうでない人と比べて、年収が10万円~16万円近く上昇する効果がみられる。また、職業に就いていない人が学び直しを行った場合には、そうでない人と比べて就業する確率が10%~14%程度上昇する効果がある。
参考:(内閣府Webサイト)第2章 人生100年時代の人材と働き方 第2節、年収・就業変化率等のグラフ
リカレント教育を受けるには
各大学で様々な取り組みが行われています。また、大学や専門学校等で学ぶことに限らず、通信教育・オンライン講座・セミナー参加・書籍による独学も、広い意味でリカレント教育(学び直し)といえます。例としてインターネット等で受講できる講義にMOOCがあります。MOOCとはMassiveOpenOnlineCourseの略です。
Massive 大規模
Open 公開
Online オンライン
Course 講座
誰もが無償(または安価)で受講でき、通常は数週間〜数ヶ月の受講期間で、受講期間終了後には成績が 提示され、合格者には証明書が発行されることもあります。MOOCで検索するといろいろと出てきますが、日本ではJMOOCが有名なところでしょうか。
ゆるいリカレント教育とは
日本経済新聞にゆるい大人の学びが活気付いているという記事がありました。例えば次のようなものです。
- 大人のキッザニア体験が人気で20〜30代女性が7割
- 小学4年生向け学習本「東大教授が教えるやばい日本史」の購入者の4割が大人で50〜60代が多い
- 数学検定の受験者が50〜60代を中心に伸びている
出典:日本経済新聞
まとめ
現代は情報技術の発達により、無料でかつ場所に縛られず大学などの講座を受講できるリカレント教育にはとても良い環境になってきています。無料で受講できて年収が上がるならばリカレント教育に取り組まない理由はありませんね。政府の後押しもあり、大学側もリカレント教育には今後さらに力を入れてくることでしょう。大学側にとっては少子化対策の定員確保にもつながるかと思います。
そしてゆるい大人の学びが活気付いているように、学びの楽しさに大人が気づき始めてきているようです。私も子供の頃は全く興味がなかった歴史に対して、大人になってからおもしろいと感じることが増えたように思います。「ゆるい大人の学び」から始めて「学びのおもしろさ」に気づき、より本格的なMOOCなどのリカレント教育へ段階的に取り組むのが良いかもしれません。そしてそんな大人を見て、子どもたちが何か感じてくれると良いですね。