はじめに
日本経済新聞でアメリカのIT大手オラクル財団が設立した「デザイン・テック・ハイスクール」という高校が紹介されていました。プロジェクト型学習中心の学校で、最近は日本企業も多く取り入れる「デザイン思考」を全生徒が学ぶことが特徴とのこと。
デザイン・テック・ハイスクールとは
- アメリカのシリコンバレー(サンフランシスコ・ベイエリアの南部)にある
- 米IT大手オラクル財団が設立
- プロジェクト型学習中心
- 「デザイン思考」を学ぶ
- オラクルや地元企業の社員がボランティアとして協力
- 授業料は無料
- テストの多くはリポート中心
プロジェクト型学習について、具体的には「乳がんの検診率の低さを解決するにはどうすべきか」といった問題へ取り組んでいることが紹介されていました。このような取り組みの中で、「着想・発案・実現」という流れに沿って問題解決までのプロセスを”デザイン”していくのがポイントだということです。(デザイン思考)
「オラクル設立」「シリコンバレー」と聞いて、トップレベルのIT人材、特にプログラミングがバリバリできるプログラマーを育成するのだろうと思ってしまったのは、私だけでしょうか。このような具体的な取り組みを知ると、「デザイン・テック・ハイスクール」という学校名にもある通り、「デザイン思考」を重要視していることがよくわかります。テクノロジーももちろん重要ではあるのですが、あくまで問題解決の「手段」であり、問題解決までのプロセスをデザインする思考を育てることが最も重要であるといった印象を強く受けます。
AI時代に大切にしたいこと
校長を務めるケン・モンゴメリー氏は次のように述べています。
「自分を信じてなんでもできるという信念があれば、変わり続ける世界の中でも様々な解決策を持てるはず。何かに挑んで失敗しても、その理由がわかれば必ず学びになる」
このような考え方ができれば、たとえIT・AIに変わる新しい何かが生まれたとしても、またはそれらが無くなったとしても、柔軟に対応していくことができるのではないでしょうか。なぜならば重要なのは「考え方」だからです。
記事では欧米の名門大が今も歴史や宗教学、哲学といった学問を重んじるのは、富の偏重、人種差別、宗教・民族問題について、AIが得意とする計算や理屈では解決できないからだと書かれています。加えて将来的には今ある多くの単純作業の仕事をロボットやAIに任せることになると予測されています。つまり、これからはAIが解決できない問題に取り組むことが仕事となり、私たち人間は問題発見から解決までのプロセスに必要な考える力をより必要とされるということです。
別の見方をすると、AIが解決できない問題により注力できるということは、より人々が暮らしやすい理想の世界に近づいているのかもしれません。
「デザイン・テック・ハイスクール」のように、子どものうちから問題解決のプロセスを大切にする「デザイン思考」を身につけさせてあげたいですね。
参考:オラクル本社内に4,300万米ドルを投じたデザイン思考の公立高校が開校
(出典:日本経済新聞)