はじめに
文部科学省は、新しい学習指導要領で今までの「知識・技能」に偏りがちだった教育から、「知識・技能」に加え、「思考力・判断力・表現力」や「学びに向かう力・人間性等(主体性・多様性・協働性)」をバランスよく学び、世界に通用するグローバル人材を育てていくことを打ち出しています。
(出典:文部科学省)
グローバル人材育成の観点から、文部科学省が普及・拡大を推進している教育プログラムがあります。以前、紹介した国際バカロレア(IB)です。文部科学省は国内における国際バカロレア認定校を2018年までに200校に大幅に増加させることを目標としていました。(2018年10月時点で候補校を含めると134校ほど)
国際バカロレアは最近耳にすることが多くなったかもしれませんが、他にもグローバル人材育成を目的とした教育プログラムがあります。「ダブルディプロマ」と「ラウンドスクエア」です。これらを導入する学校も増えているそうです。「国際バカロレア」も含め、概要をまとめてみました。
国際バカロレア
- 国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。(世界共通の教育プログラムとも言える)
- 対象は3歳から19歳
- グローバル化に対応できるスキルを身に付けた人材を育成する
- 国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を取得できる
- 国際バカロレア資格で大学進学へのルートを確保することが目的
ダブルディプロマ
- 日本とカナダのディプロマ(一般的には高校卒業資格)を取得できるプログラム
- 日本の高校とカナダの高校に在籍するかたちとなる
- 日本のカリキュラムと並行してカナダの教員による授業を受ける
- カナダへ短期留学がある
- 卒業時は世界の大学へ進学を目指すことが可能
- 現在は文化学園大学杉並中学・高校(東京)が2015年度から導入
- 2019年春には大阪学芸高校(大阪)にも導入予定
ラウンドスクエア
- 世界各国の私立学校が加盟している学校同盟
- 生徒一人一人が学業だけではない成長を目指した全人教育を行う
- 世界中の5大陸にある40カ国の加盟校が、国際会議への派遣や交換留学プログラムなどを中心に活動
- ラウンドスクエアの基本理念は”I.D.E.A.L.S.”
Internationalism 国際理解
Democracy 民主主義の精神
Environment 環境問題に対する意識
Adventure 冒険心
Leadership リーダーシップ
Service 奉仕の精神
※全人教育とは・・・簡単にいうと偏った教育ではなく道徳教育や芸術教育なども含め調和ある人格を育てる教育
海外進学へ役立つか
IBは「大学入学資格」、ダブルディプロマは日本とカナダの「高校卒業資格」が得られるようですが、ラウンドスクエアは特に資格が得られるというわけではありません。それらの資格があると、選択肢が増えたり入試がスムーズに行くこともあるようですが、必ずしもそれらの資格が必要というわけではないようです。(大学による)いずれにせよ、志望大学の入学試験を受けることには変わりはありません。
調べてみると海外への進学で重要なものは次の通りです。
- 語学力
- 高校の成績
- 課外活動の実績や受賞歴
先に挙げた教育プログラムで学べば、それが実績として評価されることが考えられますが、やはり決められたプログラムの中だけでなく、それ以外の活動が重要であることは明らかではないでしょうか。
まとめ
今後紹介した教育プログラムを導入する高校はさらに増えて行くと考えられます。また、今回紹介した教育プログラムとは別の教育プログラムを導入する学校が出てくるかもしれません。日本教育のグローバル化は確実に前進しています。