はじめに
これまで特定の大学と高校が個別に行ってきた高大接続が、文部科学省により制度化されるそうです。
文部科学省は2019年度から、高校と大学で一貫した理数教育を行う新たな仕組みづくりに着手する。私立も含めた中核的な大学に「高大接続枠」を設け、高校生が入学前から教授の指導を受けたり、インターンとして研究室を訪問したりすることを可能にする。政府が目指す「科学技術立国」リードするトップレベルの人材育成が狙いだ。(出典:日本経済新聞)
高大接続とは何か
高大接続を簡潔に述べると、「高校と大学で優れた人材を一貫して育成する」ということです。
「大学に合格するため」の高校教育ではなく、専門教育を高校・大学と一貫して学び、社会に出て第一線で活躍できる人材を育てることを目的としています。
高大接続は高大接続改革の一つの取り組みです。高大接続改革について文部科学省は以下のように説明しています。
グローバル化の進展、技術革新、国内における生産年齢人口の急減などに伴い、予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要とされています。高大接続改革においては、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じて学力の3要素を確実に育成・評価する、三者の一体的な改革を進めることが極めて重要であるとし、これらの改革に向けての取組みを着実に進めています。(出典:文部科学省)
高大接続の制度化とは
制度化とは高大接続の「定義」などを整理していくことと言えるでしょうか。
これまでは制度化されておらず、大学と高校が「我々は高大接続をしている」といえば否定できなかったわけです。しかし、制度化されることにより、「高校と大学で優れた人材を一貫して育成する」という高大接続の目的を達成する一定の水準が保たれると考えられます。
文部科学省の高大接続制度化の取り組みをまとめると以下の通りです。
高大接続制度化の取り組み
- 2019年度から仕組みづくりに着手
- 対象教育は理数教育
- 初年度は公私立問わず全国から参加校を募る
- 対象者は意欲ある一部の高校生
- 目的は「科学技術立国」をリードするトップレベルの人材育成
具体的に想定されている制度をまとめると以下の通りです。
高校在学時
- 大学の授業を受けられる
- 研究に必要な知識やスキルを身につけてもらう
- 教授や大学院生の助言を受け、共同での学会発表もできる
入試〜大学前
- 連携大学への進学を希望する場合、高校時代の研究活動をAO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試に活用できる
- 入学前から研究室でインターンとして学べる
大学入学後
- 1年生時から研究室に所属できる
- 学年ではなく能力に応じて学べる
- 高校の研究活動をもとに単位認定
今後について
2019年度は1大学あたり高校5校程度の連携を想定しているそうですが、将来は全国で展開していくそうです。