最近ではAIを導入したペッパーによる面接が話題になりましたが、民間企業では2年ほど前から動画録画による面接を取り入れる例が目立ってきているそうです。そんななか、立命館アジア太平洋大学(APU)が、留学生の大学院入試の面接に録画による面接試験を導入する方針を固めました。
立命館アジア太平洋大(APU)は5日、海外にいる外国人受験生を対象にした大学院入試で、録画による面接試験を導入する方針を固めた。
受験生がスマートフォン(スマホ)などのカメラで動画を撮影し、用意された質問項目に回答。動画データを大学の専用システムに登録する仕組み。提出期限内なら受験生は時差や場所に縛られず面接に臨める。
同大によると、大学院の入試で録画面接を採用するのは全国初。2019年度に大学院への入学を希望する受験生を対象に今月から運用を始める。軌道に乗れば大学入試での導入も検討する。
(出典:日本経済新聞)
そもそも立命館アジア太平洋大学(APU)とはどのような大学かというと、「スーパーグローバル大学」と呼ばれています。
「スーパーグローバル大学創成支援」という世界レベルの教育・研究を行うトップ大学や、国際化を牽引するグローバル大学に重点支援を行う文部科学省の事業があります。その「国際化を牽引するグローバル大学」の採択校の1つです。(参考:文部科学省Webサイトへリンク)
APUの特徴を挙げてみます。
・「自由・平和・ヒューマニティ」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」を基本理念とする ・2000年の開学以来、国際学生を受け入れた国・地域は世界147カ国・地域
・学生の約2人に1人が88ヵ国・地域からの国際学生(留学生)
・THE世界大学ランキング日本版2018「国際性」:私大1位 (イギリスの高等教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』によるランキング)
・QS世界大学ランキング2018アジア地域編「国際性」:100点/100点満点 (イギリスの高等教育評価機関『クアクアレリ・シモンズ社』によるランキング )
・APUの公用語は英語と日本語
・73カ国・地域、465の大学・研究機関等と海外留学協定を締結
etc.. (参考:立命館アジア太平洋大学Webページへリンク)
海外に留学せずとも、日本国内にこれほどの環境が整った大学があります。APUはもともとグローバル大学ということで留学生の受け入れに積極的ではありますが、この録画面接導入の流れは他の大学にも広がっていくのではないでしょうか。考えられる主な理由は以下です。
・優秀な学生の確保
・グローバル人材の育成
・国際化への対応とそのアピール
・定員の確保
加えて2020年に留学生を30万人に増やす政府目標もあり(平成29年5月1日現在の外国人留学生は267,042人)、これから外国人留学生が増えていきます。
外国人留学生が増えるとともに、国内企業へ就職する外国人が増えることが予想されます。外国人が就職できる環境も今後さらに整ってくるでしょう。
今でこそ、就職は就活生に有利な売り手市場といわれていますが、この先AIやITのさらなる発達で機械・ロボットなどによる自動化が進めば、状況はあっという間に変わってしまうことが考えられます。そもそも、売り手市場なのは中小企業のみで、大手は変わらず買い手市場であるという話もあります。
つまり、近い将来の就職活動は今よりも厳しくなってくるのではないでしょうか。 「いやいや、IT人材不足だからこの先就職はしばらく大丈夫でしょう。」 と思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、IT人材には3つの階層があると考えられています。
①超トップ人材 社会や経済を変革するものを生み出す
②ミドル人材 あらゆることがIT活用へと切り替わっていく中、その仕事を担う人材
③ベース人材 ITを使いこなす能力を持つ人
「どの階層に属するのか?」ということです。待遇が違うことは明白です。 いずれにせよ、国際化は避けられない社会の流れなので、ポジティブに捉えて、相乗効果で日本全体が活気付いていくことを期待したいです。
録画面接については、「不正は起きないのか?」「直接会って面接しないとわからないこともあるのでは?」という懸念点もありますが、どのような効果をもたらすのか注目してみてはいかがでしょうか。