論理的思考(ロジカルシンキング)は、問題解決や意思決定において非常に重要なスキルです。
よくプログラミングを子どもに習わせると論理的思考が身に付くと言われていますが、論理的思考とは具体的にどのような考え方なのでしょうか?
今回は、論理的思考の基本からその鍛え方までを詳しく解説します!
論理的思考(ロジカルシンキング)とは?
論理的思考とは、一貫性のある理由づけと明確な根拠に基づいて考えることです。
この考え方は、日常生活からビジネスシーンまで幅広く応用ができます。
論理的思考の基本的なアプローチ方法
演繹法(えんえきほう)の基本
演繹法は、一般的な原則から特定の事実や結論を導き出す方法です。
例えば節約の考え方だと
- 前提: お給料は限られている。
- 前提: 毎日コーヒーを飲みたいが、外で買うとお金がかかる。
- 結論: コーヒーを自宅で淹れて節約する
…といった形です。
紹介したものは簡単な事例ではありますが、演繹法は論理的な証明や数学的証明にもよく使われます。
帰納法の基本
帰納法は、個々の事例から一般的な法則や原則を導き出す方法です。
例えば、新しいレシピの評価だと
- 前提: これまでに作ったレシピは美味しかった。
- 前提: 新しいレシピも同じ材料を使っている。
- 結論: 新しいレシピも美味しいはずだ。
…といった形です。
帰納法は、科学的な発見や統計的な分析に有効な方法です。
演繹法との違いとして、演繹法はすでに知っていることから理論を展開し、帰納法は具体的な出来事だけで仮説を立てます。
弁証法の基本
弁証法は、対立または矛盾している意見や理論を比較検討し、より高い真理を導き出すための思考法です。
例えば旅行の計画だと
- 主張A: 観光名所を巡るべきだ。
- 主張B: 現地のローカルフードを楽しむべきだ。
- 結論C: 観光名所を巡りながらローカルフードを味わう。
…といった形です。
結論では両方の意見が調和されていますね。
論理的思考とクリティカルシンキングの違い
簡潔に言えば、論理的思考は情報を整理し結論を導く能力であり、クリティカルシンキングは情報を批判的に評価する能力です。
論理的思考は、与えられた情報やデータを整理し、結論を導く能力です。事実や前提を基にして、合理的な判断を下すことを目指します。
クリティカルシンキングは、情報やデータを批判的に評価し、より良い判断を行うための能力です。自分の思考にバイアスがかかっていないか、情報の信憑性を問い直すことが重要です。
論理的思考ができない人の7つの共通点
論理的思考が苦手な人は、感情に流されやすい、先入観に囚われる、根拠のない決断をするなどの特徴があります。
問題の核心を見失う
論理的思考が苦手な人は、しばしば問題の本質を見失い、表面的な情報や詳細に囚われがちです。
情報の整理が不得意
情報を体系的に整理し、重要な点を抽出することが難しいため、議論が散漫になりがちです。
先入観に基づく判断
既存の信念や偏見に基づいて意見を形成することが多く、客観的なデータや事実を無視する傾向があります。
思考の柔軟性が欠ける
新しい情報や異なる視点を受け入れることが難しく、一度形成した意見を変えることに抵抗を感じます。
原因と結果の関係を見落とす
事象の間の因果関係を理解するのが苦手で、結果的に誤った結論に至ることがあります。
複雑な問題の分解ができない
問題を小さな部分に分けて考えることができず、全体としての問題に圧倒されやすいです。
自己矛盾に気づかない
自分の主張や考えに矛盾があっても、それを自覚することが少なく、他人から指摘されても理解しにくいです。
論理的思考の重要性とメリット
論理的思考を身につけることで、より効果的なコミュニケーションや、正確な意思決定・問題解決ができるようになります。論理的思考は、学業、職場、日常生活において、私たちがより賢明な選択をするための基盤を作るのです。
論理的思考力を磨くことで、自分自身や周囲の人々の生活を向上させたり、
情報過多の現代社会において、正確な情報を見極め、適切な行動を取るための重要な鍵にもなります。
論理的思考力を向上させるトレーニング方法
物事を分解して考える方法
問題を小さな部分に分解し、それぞれに対する解決策を考えることで、全体の理解を深めることができます。複雑な問題を扱う際に特に有効です。
バイアスを排除した因果関係の把握
先入観や偏見を取り除き、客観的なデータに基づいて因果関係を理解することが重要です。より正確な判断が可能になります。
結論から始める
結論を先に設定し、そこから逆算して理由を探る「逆転の発想」も有効な方法です。
目的に直結した思考ができるようになります。
ロジックツリーの活用
ロジックツリーを使って、問題の要素を体系的に整理し、解決策を導き出します。
複雑な問題を明確に理解し、効率的な解決策を見つけるのに役立ちます。
仮説の立て方の習慣化
仮説を立て、それを検証するプロセスを習慣化することで、論理的思考が鍛えられます。
より効果的な問題解決に繋がります。
具体的な言葉を使う
抽象的な表現を避け、具体的な言葉を使って考えることで、明確なコミュニケーションが可能になります。
相手に自分の考えを正確に伝えるために重要です。
MECEの重要性を理解する
MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った言葉で、日本語では「相互排他的かつ網羅的」と訳されます。
簡単にいうと、問題解決や情報整理の際に、情報が重複しないように(Mutually Exclusive)、かつ必要な情報を漏れなく(Collectively Exhaustive)カバーする、ということです。
MECEの原則は、情報を整理し、問題を構造化する際に非常に重要です。この原則に従うことで、効率的かつ体系的に問題を分析し、解決策を導き出すことができます。
MECEの原則を理解し、情報を整理することで、情報の漏れや重複を防ぎ、論理的な思考が養えます。
フェルミ推定の問題解決練習
フェルミ推定とは、具体的なデータがない状況で、論理的思考力を用いて問題の概算を行う手法です。
実際に調査することが難しいような捉えどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算します。
フェルミ推定は、以下のようなステップで行われます
- 問題の要点を掴む
- 公式を作る
- 公式に当てはめる数字を作る
- 計算する
例えば、「東京都内にある自動車は何台か?」や「世界中にある全ての鉛筆の数は何本か?」といった、一見見当もつかないような量に関して推定することがフェルミ推定の使用例です。
フェルミ推定を用いて、不確実な情報から合理的な推定を行う練習をすることで、論理的思考が向上し、限られた情報で迅速な判断を下す能力を養います。
まとめ
論理的思考は、日々の生活やビジネスシーンで不可欠なスキルです。
基本的なアプローチ方法を理解し、日常的にトレーニングを行うことで、その力を高めることができます。
皆さんもぜひトレーニングしてみてくださいね。