はじめに
読売新聞に外務省分析官などを経て2005年に作家デビューした佐藤優さんのインタビューが載っていました。
佐藤さんは1975年4月に県内トップクラス中学生が集まる埼玉県浦和高校(男子校)に入学しました。当時講師として働いていた桐山一隆先生という先生が、今の佐藤さんに大きな影響を与えているようです。
全校集会で桐山先生から放たれた言葉
佐藤さんが入学した直後に開かれた全校集会で桐山先生があいさつに立ち、次の言葉を発したそうです。
「君たちは平均的エリートです」
「特に大きい業績を残す人間もいなければ何かとんでもない事件をしでかす人間もいない。この学校は、よくもつまらない人間ばかり輩出しているもんだ」
浦高の生徒は水を打ったように静かになったそうです。
桐山先生の言葉の意味とは
佐藤さんは当時は「あんなやつの授業は受けたくない」と思ったそうです。しかし、30年近く浦高で教えてきた桐山先生は、「浦高だからといっておごるな。スケール大きく自分の頭で考え、良いこの枠から抜け出せ」とショック療法で伝えたかったのだと、今では解釈しているとのこと。
佐藤さんによれば、桐山先生は丸暗記で成績を上げる生徒を好まず、好奇心を持って本をよく読み、自分で考えろと教えていたそうです。
まとめ
「自分で考えることの重要性が最近になってやっと日本で認知され始めた」というのが個人的感覚ですが、半世紀近く前に桐山先生は生徒たちに最も重要なことを伝えようとしていたのですね。(その時代に合っていたのかどうかというご意見もあるかと思いますが。)
桐山先生の集会で放った言葉は、今の時代であればネットで炎上しそうです。「ネットで炎上」と聞くとあまりいいイメージがわきませんが、仮に炎上したとすると、多くの人がこの言葉に触れ、表面的な意味だけ捉えるのではなく、隠された意味を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
(出典:読売新聞)