はじめに
私は子どもの頃、小学校のサッカーチームに入っていました。思い出すことといえばとにかく走らされたこと。練習では現在ほど組織的な練習メニューはなかったように記憶しています。試合でも「パスで崩す」というよりは「ボールを前に蹴って走る」といった単純な戦略でした。私のチームに限らず、周りのチームもほとんどが同じようなものだったと思います。
それに比べ、現在のサッカーは「組織的なプレー」「個人の力」「考える力」などを鍛えるといったように、練習プログラムが進化しているように感じます。また、「体幹トレーニング」を取り入れるなど、科学技術の進化も後押ししています。偉そうにコメントしていますが、私は小学生から社会人までサッカーを楽しんでいた程度の人間です。トップチームは昔からハイレベルな教育がされていたのかもしれません。しかし、私でさえも地域のサッカーチームの変化を感じます。これは日本サッカーのレベルが底上げされているということです。この流れはサッカーに限らず、日本のスポーツ全般にも言えることではないでしょうか。
基礎となる「考える力」
スポーツには様々な力が必要ですが、やはり基礎となるのは「考える力」です。
- 自分やチームの長所・短所は何か?
- 技術・体力向上にはどのような練習が効果的か?
- 体づくりにはどのような食事が適切か?
- メンタルを鍛えるにはどうしたら良いか?
- 怪我をしないためにはどうすべきか?
- 試合中に必要な瞬間的判断力を鍛えるにはどうすべか?
- 次のプレーの選択肢は何があるか?
- モチベーションを上げるにはどうすべきか?
- 相手の強み・弱みは何か?
例に挙げたように、問題を解決したり、目的を達成することは「考えること」から始まります。
サッカー日本代表として歴代最多の152試合に出場した遠藤保仁選手(ガンバ大阪)は、「いかに相手の裏をかくか。ボールを受ける前から、最低でも3つはプレーの選択肢を持つようにしている。」と、試合中でも常に考えてプレーしています。遠藤選手は中学生の頃、当時の指導者から「体ではなく、頭が疲れる選手になれ」と言われたのがきっかけで頭を使って先読みするようなりました。日常生活でも、混んでいるスーパーのレジの列でどこに並べば早く会計を済ませられるか考えているそうです。
試合中は自分で考え判断する必要がある
試合中は常に監督やコーチの指示を受けることはできません。また、状況は刻々と変化し、二度と同じ条件にはなりません。「練習でやってないからできない」という言い訳は通用しないのです。
遠藤選手のように常日頃から考えることを習慣化し、自分で答えを導き出す訓練をする必要があります。このように鍛える事で、試合中も短い時間で選択肢を考え、最適な選択をする判断力が身についていくものなのでしょう。
「考える力」は机に向かわせるだけではなく、このようにスポーツでも身につきます。身についた「考える力」は、スポーツだけでなく、勉強や仕事といったその人の人生のあらゆる面で役立つ強力な武器となることでしょう。