はじめに
私が高校の時、授業中ほとんど寝ているのに、教師から指されて質問されるとスラスラと質問に対して答える人がいました。
「ああ、これが天才と言われる部類の人なのか。自分は違うな。」
と当時は思ったものです。(実際には見えないところで努力をしていた可能性も否定できませんが)みなさんの周りにはそのような人いますか?もしくは「自分は天才だ」と思っている方もいるかもしれません。
しかしながら、ペンシルベニア大学心理学教授ダックワークス氏の研究によると、人生のあらゆる成功を決めるのは「才能」よりも『やり抜く力』が重要とのことです。
(出典:GRIT やり抜く力)
「やり抜く力」はアメリカの教育界で特に重要視され、ビジネスやスポーツをはじめ大きな注目を集めています。「GRIT やり抜く力」の著者であるダックワークス氏は、やり抜く力の研究の第一人者です。
やり抜く力とその重要性とは
「やり抜く力」とは、文字通りある到達点まで、または最後までやり遂げる力のことですが、ダックワークス教授は「やり抜く力」は「情熱」と「粘り強さ」の二つの要素から構成されていると述べています。
- 情熱・・・興味を持ち続け目標に対しひたむきに取り組むこと
- 粘り強さ・・・困難や挫折を経験してもあきらめずに努力を続けること
ダックワークス教授は、これら2つの要素から成る「やり抜く力」は、人々が成功し偉業を達成するには、「才能」よりも重要であることを科学的に突き止めました。この功績により、ダックワークス教授は2013年にマッカーサー賞を受賞しています。マッカーサー賞はアメリカではノーベル賞に匹敵するほど栄誉のある賞です。
やり抜く力をどのように伸ばすか
次のように感じた方もいるかもしれません。
「才能よりやり抜く力っていうけど、結局やり抜く力もやり抜く才能(遺伝)があるかないかでしょ?」
「GRIT やり抜く力」ではこの点について、やり抜く力は遺伝的なことも影響しているが、経験・環境が与える影響も大きいと述べられていました。つまり、努力次第で「やり抜く力」を伸ばすことができるということです。
「GRIT やり抜く力」ではやり抜く力を伸ばすために次の2通りのアプローチが紹介されていました。
- 内側から伸ばす
- 外側から伸ばす
それぞれ具体的な方法や事例が数多く紹介されていましたが、私が印象に残った方法を1つずつ挙げたいと思います。
やり抜く力を内側から伸ばすには「興味」を結びつける
「内側から伸ばす」とは、本人が「やり抜く!」と思える動機・モチベーションとなるもの、原動力ともいえるでしょうか。確かに「おもしろい」「楽しい」といった「興味」と結びつくものに出会え、情熱を持って没頭できたら「やり抜く力」は伸びそうです。ここで気をつけておきたい事は、興味を持つ事は外の世界と交流することによって生まれるということ。また、過去に興味を持てなかったことに、再び興味を持って没頭することもあるということです。興味を持てることとの出会いは、すんなりといかず、回り道も多く、偶然の要素も強いということも認識しておくと良いかと考えられます。
やり抜く力を外側から伸ばすには「賢明な育て方」を実践する
「外側から伸ばす」とは、親・教師・コーチ・チームメイトなどといった環境からアプローチすることです。そして、「賢明な育て方」とは「子どもに厳しい要求をしながらも、支援を惜しまない育て方」です。この育て方の有効さは科学的根拠はすでに十分であるといわれているそうです。いくつか賢明な育て方のポイントを抜粋します。
- 寛容さ
- 親は子ども自身も意見を持つ権利があると信じている
- 子どもが何をするか全て親が決めるわけではない
- 困った時は親を頼りにできる
- 親子の会話の時間を作っている
- 厳格さ
- 親は子どもに家族のルールに従うことを求めている
- 親は子どもが悪いことをしたら叱る
- 親は子どもが大変な時でもベストを尽くすことを期待している
などです。
最後に
成功を決めるのは「才能」よりも『やり抜く力』
大げさかもしれませんが、個人的にはこの言葉には「勇気」「やる気」を与えられました。
「GRIT やり抜く力」には今回紹介した内容の他にも、自分自身1人の人間として、また、親や指導者などの教育する立場の人間としてもためになる情報がたくさんあると感じました。個人的に何度も読み返したい本です。みなさんも是非読んでみてください。