詰め込み型教育から脱却、高校でビジネスに生きる教育の実践が始まっています。もはや高校生によるビジネスそのものと言っても良いかもしれません。
SBPとは
SBPとはSocial Business Project(ソーシャルビジネスプロジェクト)の略で、地域の課題をビジネスの手法を用いて解決していこうという取り組みです。
具体的には高校生が地域資源(ひと、モノ、自然、歴史、名所旧跡、産業等)と交流し、見直し、活用して“まちづくり“や”ビジネス”を提案していく、そしてその取組を地域で応援し支えていこうというものです。
2018年8月には「第3回全国高校生SBP交流フェア」が開催されました。ここではそれぞれが”取り組んだことを発表”し、”開発した商品を紹介・販売”しながら交流し、互いに評価しながら向上していくことを目的に行う交流事業です。交流フェアは「未来の大人応援プロジェクト実行委員会」が主催し、文部科学省をはじめとして「産・官・学・金・言(産業界・行政・学校・金融・マスコミ)」が共催・後援として協力しています。
(参考:全国高校生SBPプロジェクト)
SBP導入の目的とは
SBPの推進は学校だけが進めているわけではありません。前述したように交流フェアでも「産・官・学・金・言(産業界・行政・学校・金融・マスコミ)」が共催・後援して協力していることからも、各業界が期待を寄せていることがわかります。SBP導入の目的を大きくまとめると以下の3つになるでしょうか。
- 人材育成
- 高校生にビジネスに必要な能力(営業力・交渉力)が身につく
- 社会に出て即戦力となる人材へ
- 地元産業の振興
- 地元の魅力の再発見
- 若者の発想力を生かす
- 人の定着
- 地元への繋がりを強める
- 地元での就職
広まるSBP
SBPを取り入れる高校が増えてきていると日本経済新聞の記事に取り上げられていました。
地域の抱える課題をビジネスを通じて解決しようとするソーシャル・ビジネス・プログラム(SBP)を教育に取り入れる高校が増えている。若者の視点を生かして特産品を使った商品を開発したり、イベントに飲食店を出してにぎわいつくりに一役買ったり。専門家は「地域の強みや悩みを学んで事業のアイデアを練る経験によって、主体性や責任感が育まれる」と指摘する。高校卒業後の若者の流出に悩む自治体は、故郷への愛着が深まることに期待し、積極的に支援している。
(出典:日本経済新聞)
高校生によるSBPは、人口減少から廃校の危機にあった三重県立南伊勢高等学校南勢校舎で2013年4月に始まりました。現在では全国の50校以上に広がっているとのことです。
具体的にどのようなことしているか例をあげますと。
- 特産品を詰め合わせた「セレクトギフト」の販売(三重県の高校)
- カフェの運営(和歌山県の高校)
- 大手コンビニエンスストアと地元の牛乳を使用したパンの共同開発(岩手県の高校)
- 地元製薬会社と化粧水の共同開発(富山県の高校)
- 松葉の抗酸化・血管弛緩・アレルギー緩和作用を生かした商品開発(静岡県の高校)
ここに挙げた例は一部で他にも興味深い取り組みはたくさんあります。ご興味のある方は下記URLからどうぞ。
https://mirai-otona.jp/efforts/1/
SBPの今後について
これからさらにSBPを導入する高校が増えていくものと考えられます。また、参加している団体を見ると「〇〇クラブ」「〇〇同好会」といった名前が多数見られます。学校や企業といった大人からの働きかけだけではなく、高校生自身が主体的にSBPに取り組みたいといった例も少なからずあると思います。それこそ真の主体性と言えるのではないでしょうか。
SBPの取り組みがさらに広がれば、高校生にとってはとても良い環境になります。近いうち、大きな成功を収める高校生も出てくるかもしれません。我々大人も負けてはいられませんね。