高校

これからのAO入試は小論文・面接だけでなく試験も課される??

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 8月から大学のAO入試の出願受付が始まります。AO入試の実施校は日本の大学全体の75%を超えました。文部科学省の調査のよれば、国公私立大学のうちAO入試実施校は2015年度の534校から、2018年度は569校に増えたとのこと。また、国公立大学では2019年度は国立57校、公立31校となりともに過去最大です。AO入試実施校の増加は思考力や主体性を重視する入試改革の流れを受けているようです。

 AO入試のAOとは、アメリカの大学で入試を担当する「アドミッション・オフィス(入学事務室)」の略です。日本では慶応大学が1990年に導入したのが最初とされています。

「人物」+「学力」を求める大学

 AO入試では書類審査や面接、小論文などで能力や適性、意欲を総合的に評価して合否を判定します。しかし現在、意欲や適性といった「人物」を重視する選抜方法から、センター試験(大学入学共通テスト)や大学独自の試験を実施して「学力」も重視する大学が増えています。センター試験を課す大学は2015年度の3割から2018年度は4割になりました。意欲があり、学力もある、より優秀な学生を確保したい大学としては必然な流れでしょうか。

受験者も増えているAO入試

 AO入試実施校が増えているので受験者も増えるのは当然かもしれませんが、理由はそれだけではありません。受験生は一発勝負の一般入試ではなく、高校時代の成績や活動実績を多面的に評価するAO入試や推薦入試を受ける傾向が強まっているようです。また、各大学では入学生が一定割合を超えた場合、国の補助金(私学助成金)が全額カットされるため、定員を抑えるため有力私大などの一般入試の合格が難しくなっているという理由もあります。

まとめ

 一発勝負の筆記試験だけでなく、学力も人物も総合的に評価することは、大学側にとっても受験生側にとってもメリットのあることではないでしょうか。大学側にとっては一般入試に比べて手間がかかってきますが、長い目で見れば、より優秀な人材を獲得することは、大学の将来のブランド価値を高めることに繋がっていくことが考えられます。社会で活躍している人間が、どこの大学の出身かは気になってしまうものです。

 また、欧米の大学入試はAO型の選抜が主流だということです。イギリスのオックスフォード大学では論文や適性試験を貸して志願者を絞りこんだあと、教員による面接が最低2回はあるという力の入れようです。日本も一般入試に代わり、AO入試が主流になる日もそう遠くないかもしれません。

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(出典:読売新聞)

2020年4月小中高校に導入、『キャリア・パスポート』とは?

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 文部科学省は、2020年4月から全国の小学校・中学校・高校に「キャリア・パスポート」を導入する方針を決めました。「キャリア」という言葉を聞くと「進路」や「職業」という言葉をイメージしてしまいますが、もっと広い意味で捉える必要があるようです。すでに導入している学校もある「キャリア・パスポート」とはどのようなものでしょうか?そもそも文部科学省のいう「キャリア」の定義とは?

キャリアとは

 文部科学省の定義する「キャリア」とは次のようなものです。

  • 人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見出して行く連なりや積み重ねが、「キャリア」の意味するところである。(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)平成23年1月31日)

 また、文部科学省が必要性を示している「キャリア教育」については、就業体験や進路指導といったように狭いものとして捉えられがちだが、本来は自らのキャリア形成のために必要な様々な能力を育てていくものであり、学校の教育活動全体を通して行うものと説明しています。

キャリア・パスポートとは

 キャリア・パスポートは次のように定義されています。

  • 「キャリア・パスポート」とは,児童生徒が,小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について,特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として,各教科等と往還し,自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら,自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオのことである。なお,その記述や自己評価の指導にあたっては,教師が対話的に関わり,児童生徒一人一人の目標修正などの改善を支援し,個性を伸ばす指導へとつなげながら,学校,家庭及び地域における学びを自己のキャリア形成に生かそうとする態度を養うよう努めなければならない。

※ポートフォリオとは教育の分野では個人評価ツール(パーソナルポートフォリオ)のことを指します

 簡潔に説明すると、キャリア・パスポートとは小中高校生が学習や学校生活の目標を設定し、達成度を自己評価するものです。

キャリア・パスポート導入目的

 キャリア・パスポート導入の目的は次の通りです。

  • 小学校から高等学校を通じて,児童生徒にとっては,自らの学習状況やキャリア形成を見通りしたり,振り返ったりして,自己評価を行うとともに,主体的に学びに向かう力を育み,自己実現につなぐもの教師にとっては,その記述をもとに対話的にかかわることによって,児童生徒の成長を促し,系統的な指導に資するもの。

高校eポートフォリオ・大学出願ポータルサイトへ

 小学校からキャリア・パスポートで目標設定や評価、振り返りや見通したりすることで、大学入学者選抜改革の取り組みの1つである、高大接続ポータルサイト「JAPAN e-Portfolio」を抵抗感なく利用できるかと思います。

 JAPAN e-Portfolioには2つの機能があります。1つ目は「高校eポートフォリオ」です。「高校eポートフォリオ」には生徒が学びのデータを入力し、振り返ってみたり、教員が入力内容の参照や把握をして指導へ活用できます。例えば入力できるデータは次のようなものがあります。

  • 探究活動
  • 生徒会・委員会
  • 留学・海外経験
  • 部活動
  • 学校行事
  • 学校以外の活動
  • 表彰・懸賞
  • 資格・検定

 2つ目は「Web出願ポータル」という機能です。全国国公私立大学へのWeb出願サイトへのリンクや生徒基本情報の登録ができます。

 これらの機能を持つJAPAN e-Portfolioを大学の入学者選抜システムと連動させ、入学者の選定を行うということです。

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(出典:文部科学省)

まとめ

 これまでは自分の行動を意識して振り返るような機会は子ども時代にはほぼなかったと言って良いのではないでしょうか。今回の「キャリア・パスポート」の導入により、高校・大学選び、就職・転職のような人生の節目に、直前になって慌てて自己分析をするようなことがなくなると良いですね。

 そして、習慣化されて大人になっても継続できていれば、社会の激しい変化にも対応できる人材になるのではないでしょうか。「キャリア・パスポート」の導入の目的は人生100年時代と言われている今の時代にぴったりです。

導入目的:自らの学習状況やキャリア形成を見通したり,振り返ったりして,自己評価を行うとともに,主体的に学びに向かう力を育み,自己実現につなぐもの。

 

参考:文部科学省Webサイトhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/143/shiryo/1413594.htm

高校普通科が変わる、政府が示した4タイプとは?

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 今年の初めに「高校普通科のカリキュラムが変わる!?」というブログを書きました。高校普通科の画一的なカリキュラムを柔軟に見直し、専門性の高い学科として2021年度導入を目指すというものです。1月時点では具体的に示されていませんでしたが、17日に行われた政府の教育再生実行会議という会議で、4つの枠組みが示されました。教育再生実行会議でまとめまれた第11次提言の内容を抜粋して紹介します。

参考:教育再生実行会議第11次提言

新しい高校普通科の4タイプ

 教育再生実行会議第11次提言では、「普通科においては、生徒の能力や興味・関心等を踏まえた学びの提供という観点で課題がある場合があり、一斉的・画一的な学びは生徒の学習意欲にも悪影響を及ぼす」と示されています。

 これを受け、「現在生徒の約7割が在籍する普通科について、生徒の意欲と関心を喚起し、能力を最大限引き出すことができるように」と、普通科において以下の4つの方向性を選択できるように検討が進められるそうです。 

  1. 予測不可能な社会を生き抜くため自らのキャリアをデザインする力の育成を重視するもの
  2. グローバルに活躍するリーダーや国内外の課題の解決に向け対応できるリーダーとしての素養の育成を重視するもの
  3. サイエンスやテクノロジーの分野等において飛躍知を発見するイノベーター等としての素養の育成を重視するもの
  4. 地域課題の解決等を通じて体験と実践を伴った探究的な学びを重視するもの

 

文系・理系に偏らないバランスのとれた科目履修へ

 教育再生実行会議11次提言では、高校普通科カリキュラムの変更のことだけではなく、文系・理系に分けることについても課題があると述べられています。

 「Society5.0をたくましく生きるためには、文系・理系のどちらかに偏ることなく、 バランスよく資質・能力を身に付けていくことが重要であり、例えば、教育理念に基 づくことなく、大学入学者選抜等を過度に重視した文系・理系に分断されたコースの 開設等は、生徒に真に必要な力を身に付けさせる観点からは、望ましい在り方とは言い難い。」

この課題に対し、次のように各高等学校で見直しをする方向で検討が進められるようです。

 「各高等学校は、自らの教育理念及び教育課程編成・実施に関する方針等に基づき、文系・理系のバランスがとれた科目履修が行われるよう、教育課程を見直すことが重要である。」

※Society5.0・・・第4次産業革命とも言われる、AI やロボティクス、ビッグデータ、IoT といっ た技術の急速な発展に伴い到来する超スマート社会

まとめ

 先日、私が参加したイベントで「次の時代を生きる人」は以下のような人だという説明がありました。

  • 18歳までの学力で勝負する人ではなく一生学び続けていく人
  • 最終学歴ではなく最新学習歴を重要視する人
  • 早熟型ではなく晩成型の人

 これまでは「入った大学がその後の人生を決める」「終身雇用だから就職できたら一生安心」といった考えが一般的だったかと思いますが、社会は変化しています。このような考え方も変化に対応して変えていかなければなりません。そういった観点で見ると、日本の教育は社会の変化に合わせて改革が進められていることがわかります。乱暴ではありますが簡単に表現するならば、学ぶことの目的が「大学入学」ではなく、その先にある「社会を生きていく」というより大きな目的に変わったと言えるでしょうか。

 人間はどうしても自分が経験していないことは当事者意識をもてないものです。今回の「高校普通科カリキュラムの改革」や前述した「次の時代を生きる人」は、子どもはもちろんのこと、我々大人も十分に意味を考えておくべきことではないでしょうか。人生100年時代、我々大人も次の時代を生きる人ですからね。

 

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出典:日本経済新聞